• 9月 29, 2026

お腹の張り・下痢・便秘が続く…それ、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません

こんにちは。
やまなか内科・内視鏡クリニックです。

「ストレスがかかると急にお腹が痛くなる」
「朝の通勤前になると、お腹がゴロゴロしてトイレに行きたくなる」
「検査では異常がないと言われたのに、腹痛や下痢が続いている」

このような症状でお悩みではありませんか?

もしかすると、**過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)**が関係しているかもしれません。

IBSは、腸に明らかな炎症や腫瘍などの異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常が繰り返し起こる病気です。

命に関わる病気ではありませんが、症状によって外出や仕事、学校などの日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

この記事では、過敏性腸症候群(IBS)の症状や原因、検査、治療についてわかりやすく解説します。


■ 過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛と便通異常(下痢や便秘など)が繰り返し起こる病気です。

大腸内視鏡検査などを行っても、潰瘍や炎症、腫瘍などの明らかな異常が見つからないことが多いのが特徴です。

腸の動きや痛みの感じ方が過敏になっていることが関係していると考えられており、ストレスや睡眠不足、生活リズムの乱れなどによって症状が悪化することがあります。

代表的な症状には、

  • 腹痛・腹部不快感
  • 下痢
  • 便秘
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • お腹の張り、ガスがたまる感じ

などがあります。


■ IBSにはどんなタイプがある?

IBSは、主に便の状態によって次のように分類されます。

● 下痢型(IBS-D)

軟便・水様便が多く、腹痛とともに急に便意を感じることがあります。

「朝になるとトイレに行きたくなる」
「電車や車に乗るとトイレが心配になる」
といった症状がみられることもあります。

● 便秘型(IBS-C)

硬い便やコロコロした便が多く、排便してもすっきりしない、排便時に強くいきむといった症状がみられます。

お腹の張りや腹部不快感を伴うこともあります。

● 混合型(IBS-M)

下痢と便秘の両方を繰り返すタイプです。

「数日便秘が続いたと思ったら、その後に下痢になる」など、便の状態が日によって変化します。


■ どうしてIBSになるの?

IBSの原因は、1つに決められるものではありません。

腸と脳は密接に関係しており、ストレスなどの影響によって腸の動きや痛みの感じ方が変化することがあります。

また、

  • ストレスや心理的負担
  • 睡眠不足
  • 生活リズムの乱れ
  • 感染性胃腸炎などをきっかけとした腸の変化
  • 食事内容
  • 腸内細菌の変化

など、さまざまな要因が関係すると考えられています。

そのため、IBSでは「腸だけ」を治療するのではなく、生活習慣や食事、ストレスなども含めて総合的に考えることが大切です。


■ IBSと似た症状の病気に注意

「お腹の調子が悪いのはストレスのせい」と思っていても、別の病気が原因となっていることがあります。

例えば、

  • 大腸がん・大腸ポリープ
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患
  • 感染性腸炎
  • 甲状腺疾患などの全身性疾患
  • 食物不耐症など

でも、腹痛・下痢・便秘などの症状がみられることがあります。

特に、

  • 血便がある
  • 原因不明の体重減少がある
  • 貧血を指摘されている
  • 発熱がある
  • 夜間に症状で目が覚める
  • 家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる
  • これまでになかった症状が比較的高い年齢で出てきた

といった場合には、IBSと決めつけず、一度医療機関で相談することが大切です。


■ 大腸内視鏡検査は必要?

IBSは、症状だけで判断するのではなく、症状や年齢、経過などを確認しながら、必要に応じてほかの病気を除外したうえで診断します。

すべてのIBS患者さんに大腸内視鏡検査が必要というわけではありません。

一方で、血便や貧血、体重減少などの症状がある場合や、年齢・家族歴などから大腸疾患の可能性を考える必要がある場合には、大腸内視鏡検査を検討します。

大腸内視鏡検査では、大腸がんや大腸ポリープ、炎症性腸疾患などの病気を直接確認することができます。

当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸内視鏡検査にも対応しています。

ポリープが見つかった場合には、適応を判断したうえで、その場で切除することも可能です。


■ IBSの治療

IBSの治療は、症状の種類や程度、生活への影響などに合わせて行います。

【1】生活習慣の改善

まずは生活リズムを整えることが基本です。

  • 規則正しい食事を心がける
  • 睡眠時間を確保する
  • 適度に運動する
  • ストレスをため込まない
  • 自分の症状を悪化させる食事を把握する

などを意識してみましょう。

【2】食事の見直し

IBSでは、特定の食品を摂取すると症状が悪化する方もいます。

脂肪の多い食事やアルコール、カフェインなどで症状が悪化する場合には、摂取量を見直すことで症状が改善することがあります。

また、低FODMAP食と呼ばれる食事療法が症状改善に役立つ場合もあります。

ただし、食事制限を自己流で長期間続けると、栄養の偏りにつながる可能性があります。

【3】薬による治療

症状に応じて、

  • 腸の動きを調整する薬
  • 下痢を改善する薬
  • 便秘を改善する薬
  • 整腸剤
  • 漢方薬
  • 腹痛を和らげる薬

などを使用します。

IBSは症状の出方に個人差が大きいため、下痢型なのか、便秘型なのか、腹痛やお腹の張りがどの程度あるのかなどを確認しながら治療を選択します。


■ IBSは「我慢するしかない病気」ではありません

IBSは命に関わる病気ではないことが多い一方で、腹痛や下痢、便秘、お腹の張りなどによって、仕事や学校、外出などの日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

「ストレスだから仕方ない」
「体質だから我慢するしかない」

と考えず、症状が続いている場合には一度ご相談ください。

当院では、症状や経過を詳しく伺い、必要に応じて血液検査や便検査、大腸内視鏡検査などを行い、症状の原因を確認しながら治療を行っています。

お腹の不調が長く続いている方、下痢や便秘で日常生活に困っている方、腹痛やお腹の張りを繰り返している方は、お気軽にご相談ください。

当院の消化器内科・内視鏡診療について

詳しい診療内容や大腸内視鏡検査については、当院ホームページをご覧ください。

https://yamanaka-naika-clinic.jp/colon.html#colon_03


■ 参考文献

  1. 日本消化器病学会.機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―過敏性腸症候群(IBS).南江堂.
  2. Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021;116:17-44.
  3. Drossman DA, Hasler WL. Rome IV—Functional GI Disorders: Disorders of Gut-Brain Interaction. Gastroenterology. 2016;150:1257-1261.
  4. Vasant DH, et al. British Society of Gastroenterology guidelines on the management of irritable bowel syndrome. Gut. 2021;70:1214-1240.
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