以前は「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」と呼ばれていた病気ですが、現在は病気の本質である代謝異常に注目し、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」という名称と概念が用いられるようになりました。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、肥満や糖尿病、脂質異常症などの代謝異常と関連して起こる脂肪肝です。
自覚症状が少ない一方で、進行すると肝炎や肝硬変、肝がんにつながることがあります。
当クリニックでは、腹部エコーや血液検査を用いて評価を行い、生活習慣の改善を中心に、必要に応じた治療を行っています。
MASLDの治療の基本は、原因となる代謝異常の改善です。
体重管理、食事・運動などの生活習慣の見直しを中心に、糖尿病や脂質異常症、高血圧などがある場合には、それらの適切な治療を行います。
肝機能異常が軽度でも、進行例では肝炎や線維化が進むことがあるため、定期的な検査による経過観察が重要です。
当クリニックでは、血液検査や腹部エコーを用いて肝臓の状態を評価し、患者様一人ひとりに合わせた治療方針を提案します。
アルコール関連肝疾患(ALD:Alcohol-related Liver Disease)は、長期間にわたる飲酒が原因となって起こる肝臓の病気です。
一定量以上の飲酒が続くことで、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変へと進行することがあります。
一般的には、男性で1日あたり純アルコール40g以上、女性で20g以上の飲酒が長期間続く場合、アルコールが肝障害の主な原因と考えられます。
など
ただし、アルコールに対する影響には個人差があり、これより少ない量でも肝障害が進行する場合があります。
また、毎日でなくても「まとめ飲み」や長年の飲酒習慣が影響することもあります。
また、ALDは初期には自覚症状が乏しいことが多いため、健診で肝機能異常を指摘された場合には早めの評価が重要です。
当クリニックでは、飲酒量や生活習慣を丁寧に確認し、血液検査や腹部エコーなどを用いて肝臓の状態を評価したうえで、適切な生活指導と治療を行っています。
ALDの治療で最も重要なのは、飲酒量の見直し(減酒・断酒)です。
飲酒を控えることで、脂肪肝や軽度の肝障害は改善が期待でき、進行を防ぐことができます。
併せて、栄養状態の評価や食事指導を行い、必要に応じて肝機能を改善するための内服治療を行います。
肝炎や肝硬変が疑われる場合には、血液検査や腹部エコーなどで定期的に経過を確認し、重症度に応じた適切な管理を行います。
当クリニックでは、患者様の生活背景を踏まえ、無理のない治療方針を一緒に考えていきます。
主に肝細胞に炎症が引き起こされている状態を肝炎といいます。
発症の原因は、ひとつとは限らず、代表的なものとして肝炎ウイルスをはじめ、アルコール、自己免疫反応、薬剤、肝炎ウイルス以外のウイルスなど様々あります。
肝炎は主に急性肝炎と慢性肝炎に分けられます。
急性肝炎とは、比較的短期間のうちに肝臓に炎症が起こり、肝機能の異常をきたす状態を指します。
発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気などの症状がみられることがありますが、症状が軽く、健診や血液検査で偶然見つかることもあります。
急性肝炎の原因は、ウイルス感染のほか、アルコール、薬剤、サプリメント、自己免疫性の病気など様々で、原因に応じた評価と対応が重要です。
なかでも最も代表的な原因が肝炎ウイルス感染で、主に以下のウイルスが知られています。
| 原因ウイルスの種類 | 特徴 |
|---|---|
| A型肝炎ウイルス | 汚染された食品や水などを介して感染し、一時的な肝炎を起こします。 多くの場合は自然に回復しますが、重症化することもあります。 |
| B型肝炎ウイルス | 血液や体液を介して感染し、急性肝炎を起こすことがあります。 多くは治癒しますが、まれに重症化したり、慢性化したりする場合があります。 |
| C型肝炎ウイルス | 急性期の症状は軽いことが多く、気づかれにくいのが特徴です。 慢性肝炎へ移行することがあり、注意が必要です。 |
| E型肝炎ウイルス | 主に加熱不十分な肉の摂取などが原因で感染します。 多くは自然に回復しますが、高齢者や基礎疾患のある方では重症化することがあります。 |
急な肝機能異常や、強い倦怠感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などがみられる場合は、早めの受診が大切です。
急性肝炎の治療は、原因の特定と肝臓を安静に保つことが基本となります。
多くの場合、十分な休養と経過観察により自然に回復しますが、症状や肝機能異常の程度に応じて慎重な管理が必要です。
ウイルス性急性肝炎では、原因となるウイルスに応じて治療方針が異なります。
A型・E型肝炎では、原則として対症療法を行いながら経過を観察します。
B型肝炎では、多くは自然に改善しますが、重症化が疑われる場合には専門的な治療や入院管理が必要となることがあります。
C型肝炎では、慢性化の有無を確認し、必要に応じて専門医療機関と連携します。
また、アルコールや薬剤が原因と考えられる場合には、原因物質の中止が重要です。
重症例や肝機能障害が強い場合には、入院による管理や専門医療機関への紹介を行います。
慢性肝炎とは、肝臓の炎症が6か月以上持続している状態を指します。
炎症が長く続くことで、肝臓の線維化が進行し、肝硬変や肝がんへ進むことがあります。
早期には症状が乏しいため、健診の血液検査で初めて指摘されることも少なくありません。
慢性肝炎の原因には、以下のようなものがあります。
| 原因の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ウイルス性肝炎 | B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスによるものが代表的です。 |
| 脂肪肝に関連する肝炎(MASLD/MASH) | 肥満や糖尿病などの代謝異常が関係します。 |
| 脂肪肝に関連する肝炎(MASLD/MASH) | 肥満や糖尿病などの代謝異常が関係します。 |
| アルコール関連肝疾患(ALD) | 長期間の飲酒が原因となります。 |
| 自己免疫性肝炎 | 免疫の異常により肝臓に炎症が起こる病気です。 |
| 薬剤性肝障害 | 薬やサプリメント、漢方薬などが原因となることがあります。 |
慢性肝炎は初期には自覚症状がほとんどないのが特徴です。
進行すると、以下のような症状がみられることがあります。
症状が出たときには、すでに病気が進行していることもあるため、定期的な検査による早期発見が重要です。
健診で肝機能異常を指摘された方や、肝炎ウイルスの既往がある方は、症状がなくても定期的な診察をおすすめします。
慢性肝炎の治療は、原因に応じた治療と、肝臓の炎症や進行を抑えることが基本となります。
早期から適切に管理することで、肝硬変や肝がんへの進行を防ぐことが重要です。
それぞれ原因別に以下の治療が挙げられます。
| 原因の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ウイルス性慢性肝炎(B型・C型) | ウイルスの活動性や肝機能の状態に応じて、抗ウイルス治療を行います。 近年は治療法が進歩し、病状のコントロールや治癒が期待できる場合もあります。 |
| 脂肪肝に関連する肝炎(MASLD/MASH) | 体重管理や食事・運動療法を中心に、糖尿病や脂質異常症などの治療を併せて行います。 |
| アルコール関連肝疾患(ALD) | 飲酒量の見直し(減酒・断酒)が最も重要な治療となります。 |
| 自己免疫性肝炎 | 炎症を抑える治療が必要となり、専門的な管理を行います。 |
| 薬剤性肝障害 | 原因となる薬剤の中止や変更を行い、経過を観察します。 |
慢性肝炎では、症状が安定していても定期的な血液検査や腹部エコーによる経過観察が重要です。
病状に応じて、より詳しい検査や専門医療機関との連携を行います。
肝硬変とは、慢性的な肝臓の炎症が長期間続くことで、肝臓が硬く変化し、正常な働きが低下した状態です。
肝臓の線維化が進行し、元の状態に戻りにくくなるのが特徴です。
進行すると、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。
肝硬変の多くは、以下の病気が長年続いた結果として起こります。
など
近年は、脂肪肝や生活習慣病に関連した肝硬変も増えています。
肝硬変は初期には自覚症状が乏しいことがありますが、進行すると次のような症状が現れます。
肝硬変は早期発見・早期管理が非常に重要な病気です。
慢性肝炎や脂肪肝を指摘されたことがある方は、症状がなくても定期的な診察をおすすめします。
肝硬変の治療は、原因となる病気の治療と、合併症の予防・管理が中心となります。
また、肝硬変の方は肝がんを合併するリスクが高いため、定期的な検査が重要です。
病状に応じて、専門医療機関と連携しながら治療を行います。